ベートーヴェンと難聴
■伝音声難聴
ベートーヴェンの話として広く知られているものに、25歳頃に始まった難聴がある。
これは次第に悪化し、晩年の約10年はほぼ聞こえない状態にまで陥ったとされている。
一説には「ベートーヴェンは耳硬化症という伝音性難聴であって、
人の声は聞こえなくても楽器の音なら振動で聞くことができた。」という説もある。
この説に関連して、ベートーヴェンは幼少時から既に伝音声難聴にかかっており、
年齢を重ねるごとにその症状が悪化していった、という話も時々見られる。
また、口にくわえたタクトをピアノに押し付け、歯から伝わる振動を音として捉えていた、
という話もあります。この場合は音を『耳で聞く』のではなく
『骨で聞く』という骨伝道を利用したものだとされている。
このように難聴に関する様々な説があるのは、
ベートーヴェンの代表的な作品の多くは30代以降に作られた、
ということが原因だと考えられています。
何故なら、この30代という年齢は彼の耳がほとんど機能しなくなった、とされる年齢だからです。
いかに幼少時から音楽教育を受け、類稀なる才能を持っていた彼でも、全くの無音の世界でこれだ
けの作品を作るのは、一般的に考えて非常に困難であることから、
このように多くの説が論じられています。
■難聴の原因
近年、難聴の直接的な原因についても数多くの説が論じられており、
確かなことは判明していないが、現在では「梅毒」や「鉛中毒」などが有力視されている。
梅毒の症状の中には、神経や脳、脊髄に至るまで様々な症状があり、
発病から10年以上経つとその生存率は極めて低くなる為、
現在では鉛中毒が有力視されているようだ。
また、ベートーヴェンは幼少期に父親からスパルタ教育を受けており、
この際に殴られるなどして、耳に強い衝撃を受けた為ではないか、との説もある。
■鉛中毒
近年になって、ベートーヴェンの毛髪から通常の100倍近い鉛が検出されたことが判った。
16世紀のヨーロッパではワインの甘味料が原因の
鉛中毒が多発していた、という記述も残っており
年代を指定して飲むほどのワイン好きだったベートーヴェンも、
鉛中毒にかかっていた可能性が出てきたからだ。
鉛中毒の症状には腹痛や興奮状態など、様々な症状があり、
慢性的な腹痛や下痢はこれが原因である可能性が高くなった。 しかし、鉛中毒で引き起こされる難聴、というのは極めて稀な症状であることから、
直接的な因果関係はハッキリしていない。